歌織の独り言

24 January 2003


バリは雨季にもかかわらず、気持ちのいい天気が続いている。
燦々と輝く太陽、そして心地よく吹く風、それに包まれて
うちのSPAのロビーにある椅子に腰をかけ、コーヒーを飲みながら
ボ〜っと庭を眺める。こらこら、仕事をしなさいっ。いやいやわかってますって。
でも深緑の木々、一面に咲く花々を見ていると、ついつい何もかも忘れてしまう自然の偉大さよ・・・(笑)

 
 そしてうちのスタッフ登場。「歌織さ〜ん、何してるの〜?」
いやいや、見たらわかるって。考え事をしてるくらい。。。
こっちの人はとにかく寂しがり屋で、一人でどこかに佇むって事はありえない。
ましてや誰かが一人で考え事をしているのを見ると(歌織自身はリラックスしているんだけど・・・)、
「歌織さんが一人でいるっ。かわいそうだ。」と言う思考回路になってしまい、
「私が話してあげ(慰め)ないと。」と、言う結論に達するのである。
ありがたいことだけど、たまに一人になりたい時は結構放っておいて欲しいって思うこともしばしば、、、
ま、そこがバリ人のいい所でありお節介である所なんだけどね。
 
 ある時うちのスタッフとおしゃべりしていたら、「何で歌織さんは日本じゃなくてバリで働いてるの?
日本はお給料いっぱいもらえてお金持ちでしょ?それに比べてバリは給料低いじゃない?」って。
「ん〜日本は忙しいからなぁ」と、日本の仕事状況をあれこれと語ってあげた。そして目を丸くするスタッフ。
「そんなに忙しいの?僕バリで良かった。
だってこっちは給料安くてもいつでもリラックスだからね☆」と、茶目っ気たっぷりの目で言った。
ギリ(ちなみにニックネームは貧乏さん)はうちのスタッフの中でもおちゃらけ代表のような存在。
うちのSPAの貴重なムードメーカーである。
そしてまた、彼の口にする言葉はしばしば歌織を考えさせてくれる、そう、彼の考えはとてもシンプルで的を得ているのである。
そしてギリ、「ねー歌織さん。日本人は何でそうせかせか忙しく働くの?何のために働いているの?」と。
「ん〜生活のため、だったかなぁ。」何て曖昧に答えてみたり。
「ふ〜ん、ねー歌織さん。確かにお金持ちはいいと思うけど、人間死んじゃったらお金は天国に持っていけないんだよ。だったらさ、
少しのお金でも毎日ご飯食べれて、友達とおしゃべりして、リラックスして楽しく過ごした方がいいと思わない?」
「やっぱりバリっていいよね〜。」と、ギリは言う。
 
 最近友達がこんなメールを送ってきた。「私、何のために働いているんだろう?」と。
彼女は歌織と同じ歳で、既に家庭を持っている。ただ、毎日毎日主婦業と仕事の繰り返しに、疑問を感じているみたいだ。
「本当に私がやりたい事はなんだろう?」って彼女が言う。
 
 偶然なのか、本当に最近自分の人生に疑問を感じているって言う友達が増えている気がする。
と言うか、今の日本の若い世代で真面目に人生考えている人の大半はそう思っているんじゃないかな。
ただ、真面目に人生考えてない人の方が多い気もするが。。。
 歌織が彼女に言ったのは、「もう1度自分と向かい合ってみたら?」と言う事。
毎日時計と睨めっこしながら生活している日本で、真剣に自分と向かい合う事って難しい事だと思う。(歌織もそうだったし)
だけど「これでいいのかな?」って言う疑問は頭をよぎるばかりでそれが積もり積もって結局混乱してしまうんだよね。
そして一番怖い事は人と比べてしまう事。
 何も大それた事をしようとか思う必要はなく、「今やるべき事」を考えてそれを目標にしていけばいいのかなって思う。
人間目標がないと、どうしていいかわからなくなるし、逆に何か目標に向かって真剣になってる人って何か惹きつけるパワーを感じるしね。
歌織も後者でいたいなって思ってる。
 でも、「このままでいいのかな。」って彼女が気づいた事事態、それだけでも歌織は素晴らしい事だと思ってる。
人生何にも考えずにだらだら生きるより、そうやって自分に向かい合える事が出来たって事が、この先必ずプラスになるんじゃないかな。
 
 最近歌織は思う。「人生なんて楽しいんだ」って。これはお気楽って意味では決してない。
要するに、「自分の人生は自分自身で決めることが出来る」って事。
この歳になるともう「親」と言うのは子供の頃とは違った存在になる。
(但し、一生の良き理解者でありアドバイザーであると思うが)そして何かしら迷ったり悩んだりした挙句、
最終的な決定権を持っているのは「自分」しかいない。まさか一生に一度の人生を他人任せで生きるわけにはいかないだろうしね。
 そう考えると、自分の人生楽しくするのもつまらなくするのも全て自分次第なんだよね。
悩んだり、怒ったり、泣いたり、そして笑ったり。
それは全て自分が決めたからそうなった事だし、
実際歌織がバリへ来てもし「こんなはずじゃなかった。何で私はバリに来てしまったんだろう。」って後悔したとしても、
それは自分で決めたことだからしょうがないって思ってまた考えればいいし、
逆に今歌織がバリで色んな事を経験しながら生きられているって事も、
「やっぱり間違ってなかった」って言う自信につながる事だしね。
 「人生そんなに甘い事ばかりじゃないんだよ。」って思っている方。
はい、その通り。ただ何で自分から人生難しくしてるの?って。
よーく考えてみたらとってもシンプルな事だったりしてね。歌織はそれを言いたかったの。
 
 自分の心の持ち方、気持ち次第で本当は色んな事が出来て、何でも自分の思った通りにできる。
但し、そこに世間の色んな柵があって、真っ直ぐだったはずの道がたちまち茨の道に見えてしまっている。
ただ茨の道を作ってしまったのは案外自分自身だったりするんだよね、、、
 
 今度歌織の親友が結婚をする。そして歌織のもう一人の親友が仕事を辞めて新しい道に進む。
それぞれ自分の人生を考え、新しい道に進もうとしている。
「大好きな人と結婚できるなんて夢見たい。」って嬉しそうに言う彼女は本当に幸せそのもので、
歌織は心から「良かったね、おめでとう」って。
そして「今までの自分を捨てて新しい道を歩きたい」と言った彼女には「良かったね、お互い頑張ろう」って。
 
 「うれしい たのしい だいすき」どこかであった歌の歌詞。このシンプルな言葉はとっても好き。
人生そんなにうまくはいかないかもしれないけど、いつまでもこんな気持ちで過ごせたらいいな。
 
 そしてこんな風に素直に思えることも、きっとバリの自然とバリ人たちの素敵な笑顔に囲まれているからなのかな・・・。
 
 「人生って素敵だな・・・。」



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