歌織の独り言

23 December 2002
「さ、寒いぃ〜!!!!」
成田空港に降り立ってとっさに叫んでしまった、、、
実は体調不良のため、1ヶ月許可をもらって約半年ぶりに帰国。
久しぶりの日本はやっぱり新鮮で、ご飯も美味しいし、スッカリご満悦♪
 
 それにしても今年の1月バリに旅立ってからもう1年。
前回はちょっとの帰国だったからバタバタして何も感じなかったけど、
今回は丸々1ヶ月のんびりしてたから少しは日本を見れたかなぁって思う。
 
 歌織がいなかった1年間、変化といえば歌織がお気に入りのお店のドリンク代が300円から400円になっててショックを受けた(笑)
小さな事から、友達が結婚して出産していた大きな事まで、「あ、そう言えば1年経ったんだ。」って思う事がたくさんあった。
 
 それでも1番歌織が感じた事は、「何て日本人はお金持ちなんだろう?」と、言う事。お金持ちと言えば大きな家に住んで外車に乗って、
マダムがペルシャ猫をなでながら「あら、いらっしゃい」何てイメージ(笑)だけど、歌織が言っているのはそんなお金持ちじゃなくて、国民一人一人の生活水準の高さって事。
 今じゃ携帯電話は当たり前、ブランドのバックに外食に海外旅行。欲しいものは何でも手に入ってしまうよね。身近なもので欲しくても手に入らなくて「我慢」をしなければいけないなんて事、今の日本にはありえないんじゃないかって思うくらい。今の日本には「貪欲」とか「ハングリー精神」って言葉は消え去ってしまっているのだろう。
 
 日本で「あれが食べたい、これが食べたい。」って思った時に、ちょっと出ればその欲はあっという間に満たされてしまう。日本人にとっての食事は「味覚を満たすため」であって、決して「空腹を満たすため」ではない。
 テロがあってバリ島経済は大打撃を受けたが、多くの人が職を失い、明日の生活を心配し、家財や電化製品を売ったり一番の財産のバイクを売ってしまったりしていた。元々趣味趣向なんてものに余裕がないわけだから、何かあったら直接明日の生活に響いてしまうのだ。
 ある時、うちのスタッフが裏庭でこっそりご飯を食べていた。何気なしに目に入った食べ物、それは白いご飯だけだった。おかずもない、塩さえない、ただの白飯。無言でそれを食べている彼女は何を思っているのだろうか。何の言葉もかけられず、何だかその場を逃げてしまう形で去ってしまった歌織。ただ心が痛かった。
 あくる日、どうも体調がすぐれず、残してしまうのは・・・と思って「良かったらこれ食べない?」と、おかずの鶏肉を彼女に。「ありがとう!!歌織さん!!」と、目を輝かせて美味しそうに食べる彼女を見て、「今まで歌織は何を見てたんだろう」って思った。こんな基本的な事に気が付かなかったなんて・・・。
 
 インドネシア人は自分がご飯を食べる時に必ず周囲の人に「Makan(マカン)」と言う。直訳すると「食べる」、要するに「私は今からご飯を食べるからみんな一緒に食べましょう」と、みんなに促すのである。歌織は「一種の社交辞令かなぁ」何て軽く考えていた。日本では元々人が何を食べようが特に気にならないし、ましてや食べるものがないなんて考えられないじゃない?だから全く気にもとめてなかったけど、実際うちのスタッフがご飯を食べる時は何人か一緒になって食べているの。この「Makan」の意味は、「私のご飯をみんなでどうぞ・・・」って意味だったんだよね。だからおかずのない人には自分のおかずを分けてあげる、その次の日自分におかずがなかったら必ず誰かが自分のものを分けているんだよね。
 
 歌織がまだ高校生の時、「お弁当のおかずがいつもこればっかりで嫌っ!!」って言って、その日のお弁当に全く手をつけずにそのまま家に持ち帰って母を悲しませた事がある。もちろん母の世代は日本がまだ不自由だった時代を知っているわけで、この娘の態度に色んな意味で心を痛めただろう。でもその時の歌織はそんな思いを知るわけもなく、ただ文句ばかりを言ってたっけ・・・。そしてそのまま大人になって自分が母親になっていたら・・・って考えると恐ろしいな、、、
 
 日本人がここまで生活が快適になったのは、この前も言ったけど国民一人一人ががんばったわけで、実際「日本人ほど働き者はいないだろうな。」って思う。毎日通勤電車に揺られて働いて、そしてまた満員電車で家に帰ってきて・・・って。バリ人には絶対できないことだと思う。でも働く場所があって、帰る家があって、美味しいものを毎日食べれて・・・。これって当たり前のようでとても幸せな事だと思う。
 
 日本にいた時は全く考えなかった自分の家。(と、言うか親の家だけど)今回久しぶりに帰ってきて帰る家があることに素直に感謝した。
寝るところがあって、帰ったらご飯まで食べれる。本当にありがたい事です。
 
 今、1日に何回心から「ありがとう」って言っているだろうか?
人間が生きていく上で一番基本的で、そして一番大切な「感謝の気持ち」日本にいる時は忘れてたなぁ。
 
 バリ人たちのあの笑顔。いつも神様に感謝の気持ちを忘れないからこそ、自然とその笑顔が出てくるんだろうな。宗教なんて関係ない。
「感謝」する事は、自分の気持ち次第なんだから。
 
 と、独り言を綴っている間にも「歌織さーん、ルジャ(歌織の大好物)作ったから一緒に食べよう〜」って、うちのスタッフ達。
少しは彼女達の笑顔に近づけて言えてるのかな?
「Terima kasih!!(ありがとう)」

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