歌織の独り言

21 JULY , 2002


「何だぁ〜この忙しさはっ!!」
日本からバリに帰ってきて早2ヶ月弱。目まぐるしいほどに時が経っていった。
帰ってきてから次の日にVISA申請のためにシンガポールへ飛び、
VISA取得後は朝から晩まで毎日旅行会社廻り、そして友達がバリに来るラッシュで
公私共にバタバタしており自分の時間がなかなか取れず、心身ともに疲労困憊・・・。
ただ日本にいた時の疲れと違い、心地の良い疲れではあったが、、、
 
 それでも何とか落ち着いてきた頃に見かねた友達が言った。
「歌織、良かったら友達の村のお祭りに行かない??」 「えっ?いいの?」
ここの所、仕事と夜は友達の泊まっているKUTA地区の往復だったために
少しでも違う場所に行ける事に心が躍る。しかもお祭り。はい、大好きです☆(笑)
もう頭の中はお祭り♪お祭り♪一体何のお祭りかもよく聞かず、ルンルン気分で
現地へ到着。「ん????」 よく見るとそこはお寺。周りにはバリの伝統的な
飾り付けがしてあり、入り口にはバリの民族衣装(いわゆるお祈りの時の正装)をした
バリ人達が神妙な顔をして立っている・・・。
 「え?お祭りじゃないの?盆踊りとか?屋台の金魚すくいとか・・・?」
あるわけない。ここはバリ、誰が日本のお祭りと一緒だと言ったのだろうか。。。
「お祭り」の言葉にすっかり日本のお祭りと勘違いしてしまった日本人が一人、
いかにも「観光客でーす」という出で立ちでお寺の入り口に佇む・・・。
 お寺に入っていく人達は民族衣装のバリ人達に手を合わせ、挨拶を交わす。
訳もわからず、同じように歌織も手を合わせて逃げるように入り口へと滑り込む。
もちろんその時、歌織の顔がピクピクと引きつっていたのは言うまでもない。
心臓がドキドキ、心の中では「やってしまったぁ〜!!」と、叫ぶ私・・・。しかし後に引けるはずもなく、
これから何が起こるかもわからない不安の中で恐る恐る中を覗く、、、
 「ふむふむ、テーブルに椅子・・・カラオケセットと、、、はいっ?カラオケ???」   
中には何台ものテーブルと椅子がグループ毎に配置してあり、そしてカラオケセットがドーンと一台前方に置いてある。
それぞれテーブルに着いてみなさん楽しくおしゃべりしたり飲んだりしている。
 「ね、何?この集まりは。歌織が来ちゃって大丈夫なわけ?」
やっと我に返り、友達に聞く。「大丈夫だよ。Bazzarだから。」
そう、この集まりはバサールと言って、バンジャールと言う、いわゆる村の自治体が主催で行われているもので、
ここにお客さんを招いて飲み食いしてもらったお金を、村の資金としてお寺のために使ったり村の発展事業に投資したりするんだって。
だからここに訪れたお客はとても感謝され、丁寧にご接待を受けるわけです。
「なるほど、だからみんな民族衣装着て手を合わせてたのはお礼を言ってただけなんだ」と、一人で納得。
そうとわかれば観光客だろうが日本人だろうが関係なし。
後は一緒に来たメンバーでワイワイと楽しませていただきました。(笑)
 
 久しぶりにゆっくりバリの人達と話が出来て、図々しくもご馳走になってすっかり気分のいい私。
「うん、良い時を過ごしたな。」友達に感謝。
そして友達、「ね、この後良かったら家に来ない?」
「えっ?大丈夫なの?」 何たってバリ人のお家に遊びに行くのは今回が初めて。
突然訪問してご両親は迷惑じゃないかしら?何かお土産とか持っていった方が・・・。
と、またもや日本的な考えに戻って迷っていると、それを見透かしたのか友達が
「なに、心配いらないよ。来てみたらわかるって・・・」と、笑顔で言う。
まぁ家主がそう言うのなら・・・と、お言葉に甘えてお邪魔する事にした。
 
 着いてすぐ歓迎してくれたのはその家のワンちゃん達。
大きいのから小さいのまで全部で4匹。バリに来て野良犬しか見た事のなかった歌織(笑)は大感激。
そして玄関から目をやると、そこには先程別れたはずの人達がそれぞれゆっくりくつろいでいる・・・。
「えっ?何?みんな家族だったの?」
「違う違う。うちは誰でもいつでも人がいるんだよ。勝手に来てうちでご飯食べて好きな時にみんな帰って。
まぁ寝泊りしてる人もいるけどね。」と、平然として友達は言う。
そしてあれが下の妹で、あれが2番目の弟、そして・・・と、説明を受けたけど、
はっきり言って誰が家族で誰が近所の人だかわからない。(笑)
歌織の中では十数人の大家族にしか見えないのだから、、、
 それから家族の人(たぶん近所の人も混じっている)と他愛もないおしゃべりが続く。
インドネシア語が話せる日本人はどうやら珍しいらしく、
みんなから質問攻めにあった。(汗)それでも一番人懐っこく話しかけてきたのは妹のプトゥリ。
まだ15歳の彼女は中学校に行きながらレゴンダンスを習いに行っていると言う。
そう言えばスラッとしていて髪が長く、おまけに色が白い。
そして何よりもかわいい。自然の美しさと言った方が良いだろう。
 ほら、日本だと今は中学生からお化粧して高校生になったら大人顔負けのメイクで学生なんだかOLなんだか見分けがつかないでしょう?
それって本当は間違っていると歌織は思う。何で素のままで充分美しい年齢なのにわざわざそれを壊してしまうのだろうって。
お化粧なんて年が経てば嫌でもしなきゃいけなくなるのに、一番素のままで美しく輝ける時なのに本当に勿体無いって。
 彼女もそうだけど、バリの子達は自然そのもの。きっと内面から美しさが出ているんだろうな。
飾りと言えばもちろん笑顔。もうそれだけで充分なのだ。日本の子達はメイクや美白の勉強よりも、まずこの笑顔から勉強した方がいいんじゃないかな。(って年よりくさい事言っちゃったりして。。。)
 
 何だかんだですっかり家族と和んでしまった歌織。 
終いには「泊まっていきなさい」とお母様と妹のプトゥリ。そこまではと、恐縮してしまったが、仕事もお昼過ぎからだし、断りきれずに結局泊まらせて頂く事にした。
 朝9時前に起きると既にみなさん起床。(前にも言ったけどバリ人の朝は早いのだ。)
もう女性人はお昼の仕込みにかかっている。歌織の大好きなサンバルを石臼を使ってお母さんが作っているところだった。「思ったより力が要るんだな」何て思いながら観察していると、あっという間にこれまた歌織の大好きなガドガド(野菜の上にピーナッツソースがかかっている料理)の激辛バージョンの出来上がり。「歌織、昨日これ好きだって言ってたわよね。とびっきり辛くしておいたよ。」と、お母さん。本当に嬉しくてこみ上げてくるものを必死で抑えるのに大変だった。もちろん手料理を食べるのは初めて。美味しい美味しいと食べる歌織を見てお母さんも笑顔。そしてバリ人でも辛過ぎるほどのガドガドをペロリと平らげてしまった歌織に回りの人がビックリ。辛さ勝負なら負けません。(笑)
 
 でもね、何だろう。この居心地の良さは。
バリに来て、色んな人に色んな事を教えてもらって、経験をさせてもらって、
たった半年で人の考えってこうも変わるんだなって自分でも驚いている。
ただね、一つだけまだ経験していない事があったんだ。そう、それは「家族の温かさ。」
特に何をするでもなく、みんなとお話したり、一緒に内職を手伝ったり、犬と遊んだり。
まるで歌織も家族の一員になったみたいなの。それがとても自然で嬉しくて、そして温かいんだな。
その空間にいるだけで気持ちが安らいでいくのがわかる。
こっちに来て友達と遊んだりスタッフと話したりで寂しさは全く感じなかったけど、
やっぱり一人で海外にいるって事は自然とどこかでこの温かさを探していたのかもしれない。この居心地の良さを・・・。
 
 帰り際にプトゥリが「歌織、今度はいつくるの?」って言われた時には本当に嬉しかった。
「また今度ね。」と言って後ろ髪を引かれながら帰り道、「あ、本当に歌織はバリに住んでるんだな。」って初めて実感した。
 
 ここ2ヶ月、自分のために時間を使う事をすっかり忘れていた歌織。
この家族と出会った事で、また色んな事を気づかせてくれてた。
今度プトゥリの通うレゴンダンスの教室に歌織も連れて行ってもらうことにしよう。
そしてもう一つ、友達がボランティアで幼稚園に日本語を教えに行っていると言う。
いつもバリの人から与えてもらってばかりだから、今度は歌織が恩返し!?
 
 今度お休みをもらったら、どこか旅行へ行ってこようかな・・・。
「自分を大切にする時間」を探しに、、、
 
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